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難水溶性薬物のナノ領域までの微細化と溶出性の改善
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難水溶性薬物のナノ領域までの微細化と溶出性の改善

近年、新規開発される医薬品の多くが難水溶性であると言われています。このような薬物は体内に吸収されにくいため、溶出性の改善が求められています。溶出性を改善するには様々な方法がありますが、その方法の一つに『薬物の微細化』が挙げられます。

一般的に湿式粉砕は乾式粉砕よりも微細化可能と言われています。奈良機械製作所の湿式粉砕機マイクロスでは、これまで水媒体でサブミクロン領域までの粉砕を行なってきました。最近の研究では各種添加剤を加えることでナノ領域までの粉砕が出来ることが判ってきました。下記に粉砕媒体としてリン脂質ポリマー水溶液を用いた例をご紹介致します。

平均粒子径25μmのイブプロフェン(45g)と、濃度を変えたリン脂質ポリマー水溶液(255g)を所定の条件下(回転速度 2,000rpm、15min)でマイクロス(MIC-0型)処理した時の各サンプルの粒度分布と溶出挙動を図1、2に示します。得られたサンプルは、日本薬局方に基づく溶出試験及び、レーザー光散乱式粒度分布測定装置(SALD-2100島津製作所)による粒度分布測定によって評価しました。
この処理によって、イブプロフェンは1μm~サブミクロン領域まで粉砕されました。特に2wt%以上のリン脂質ポリマーを添加したものでは、平均粒子径は128nmまで到達し、粒子のほとんどはサブミクロン領域にあるというシャープな分布が得られました。また原料と比較し、マイクロスでの粉砕品は溶出特性が改善され、特にリン脂質ポリマーを加えたものは、5分まででほぼ100%の溶出率を示しました。

以上の結果から、15分という短時間の処理で、薬物は微細化による表面積増加によって溶出特性が改善されたと考えられます。また、同時に粉砕過程で両親媒性であるリン脂質ポリマーの疎水基が薬物表面に結合し、親水基が外側に配置されたことで水との親和性を高めたことも溶出特性の改善に寄与していると推察されます。

奈良機械製作所の湿式粉砕機マイクロスでは、今回紹介した医薬品以外にも、電子材料や食品等において多くの実績があります。どうぞお気軽にご相談ください。

難水溶性薬物のナノ領域までの微細化と溶出性の改善
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