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No.14
封じ込め仕様2軸エクストルーダー

加熱溶融押出法(HME法:Hot Melt Extrusion)は、薬物(API)とポリマー(医薬品添加剤)の混合粉体を加熱と混練によって非晶質化させ、それを冷却することによって固体分散体を得る方法です。溶媒を使わず、連続的な処理が可能であるため、難水溶性薬物の溶出性改善の新しい策として期待されています。
このHME法を行う装置が2軸エクストルーダーです。2軸エクストルーダーは、モーターにより駆動する2本のスクリューと分割型バレル、排出ユニットから構成されています。温度制御されたバレル内に原料を定量供給すると、原料はスクリューの回転作用とバレルからの加熱を受けます。加熱によるポリマーの軟化に伴い、薬物が素早く混合分散・混練され、薬物をポリマーに固体分散させることができます。混練された固体分散体は排出口(ダイ)から押し出されるように排出されます。



近年このHME法を行う薬物は、高活性であることが多く、そのため産業衛生上の観点から装置の封じ込めが求められています。そこでエクストルーダーを陰圧制御のグローブボックスに内装することなどにより、封じ込めを可能とし安全にハンドリングすることが可能となりました。
グローブボックス上部に原料供給装置を設置し、グローブボックス内にエクストルーダーと製品冷却用ベルトコンベアを配置しています。

【原料供給】
原料供給用スクリューフィーダーへの粉体の投入を、封じ込め用バルブであるチャージポイントで行うことにより、封じ込めた状態で粉体を投入します。

【グローブボックスの吸排気】
グローブボックスの吸排気はHEPAフィルターを通じて行われ、吸気から排気の空気はワンパスで通過します。機内は常に陰圧で制御されており、高活性粉体の曝露を防止します。さらに、ボックス内のエアフローにより、内部の雰囲気温度上昇を防ぎます。
HEPAフィルターは吸排気どちらもウエットダウン後にバグアウトもしくはグローブボックス内での安全交換ができるようになっています。

【エクストルーダー】
エクストルーダーのバレルはグローブボックス内にあり、その近傍は特殊設計のバレルカバーになっています。バレルカバーはスプレーボールを付属しており、ウエットダウン後に、グローブ操作、もしくはバレルカバーを開けてバレルを分解することができます。

【製品冷却用クーリングベルト及び製品回収】
押し出し品の冷却〜解砕〜製品の回収を、グローブボックス内で行うことが出来ます。製品はグローブ操作にて梱包後、バグアウトポートから取り出します。エクストルーダーのスクリューもグローブ操作にて交換可能です。

私達が長年培ってきた封じ込め技術によって、本件のようにさまざまな装置やプロセスに合わせた設計を行うことが可能です。